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ベンダー乗り換え時のデータ移行3つの課題

2019/06/01

病院事務長「電子カルテメーカーをA社からB社へ変えたいけどたくさんお金がかかるのかな。」

病院システム室室長「院長から電子カルテメーカーを変更できないか相談があったけどデータ移行作業など大変じゃないのかな。」

このような悩みにお答えします。

 

ここ数年では他社への乗り換えも随分増えてきており、データ移行問題をどのように回避されているかのノウハウや事例を解説します。

 

目次

  • 旧ベンダーからの法外なデータ抽出費用
  • 旧ベンダーと新ベンダーとの協力体制が築けない(特に旧ベンダーが非協力的)
  • 移行後にデータの不具合が発生する

 

①旧ベンダーからの法外なデータ抽出費用

電子カルテを他社に乗り換える場合(A社※旧→B社※新)、旧ベンダーにデータ移行に利用するデータ提供を依頼した場合、法外な費用見積が提示されるケースがあります。

「手切れ金」なんて言い方もされていたりしますが、1億円を超える金額を提示されるケースもざらに見受けられます。

まず1つのポイントとしては、次期システム更新検討を始める前の段階で、電子カルテデータの抽出方法のやり方とデータベースレイアウト定義書を提示してもらうことが必要です。

もっというと、初期導入の際の要求仕様に「電子カルテデータをもれなく抽出できること及びデータ抽出マニュアルを提示すること」「電子カルテのデータベースレイアウト定義書を提示すること」を明記し必ず提示してもらうよう約束を取り付けておく必要があります。

データ抽出のやり方さえわかれば、いつでもデータは抜き出せますし、しっかりとした(が前提ですが)データベースレイアウト定義書があれば、どれがなんのデータなのか理解することができます。

次期システム検討に入ってからデータ移行のことを考えてしまうと、データ抽出の依頼をしただけで法外な費用見積がでてしまう恐れがあります。

 

2つ目のポイントとしては、電子カルテ更新の予算にータ抽出・移行費用は含めないことです。

電子カルテ更新の予算内にデータ抽出・移行を含めてしまうと、旧ベンダーが継続する場合はデータ抽出費用は発生しないですが、新ベンダーに乗り換える場合に+αの費用が乗っかることになり、新ベンダーは+α分のハンデを背負うことになります。

公平性を担保するためには電子カルテ抽出・移行費用は別枠で確保したほうが良いです。

 

3つ目のポイントとしては、データウェアハウスを活用することです。

基本的にデータウェアハウスは電子カルテや医事会計のほかあらゆる部門システムデータを蓄積しデータ整備を行います。

データ抽出においては専門ですし、データベースレイアウト定義書についてもしっかり作ってくれるため乗り換えの際のデータ移行対策としても有効と思われます。

 

②旧ベンダーと新ベンダーとの協力体制が築けない(特に旧ベンダーが非協力的)

それぞれのベンダーは競合になるのでなかなか双方が仲良くやるのは厳しいです。

まず、「ベンダー同士でうまくやっておいてね。」というのはやめたほうがいいでしょう。

直接ベンダー同士でやってもらうことで、後々に不具合等が発生した場合にどちらも責任の押し付け合いになる可能性があります。

ですので、あくまでも病院が旧ベンダーからデータを受取り、新ベンダーに渡す流れを取ることが先決です。

①で解説した通り、そもそも病院側でデータを抜き出せる環境にしておくことが最善と思われます。

 

 

③移行後にデータの不具合が発生する

ベンダーが違えば、データベースレイアウトも違えばマスタコード体系も異なります。

少しでもマスターの紐づけが間違っていればシステムエラーを起こす可能性がります。

よくありがちなのは、データ移行を行った新システムでDo処方を行った際にエラーが出てしまうケースです。

これはマスタの不整合が原因で起こる不具合です。

データ移行を行ったデータを利用してDo入力やセット入力を行うと何かしら少なからずエラーがでて新システム稼働時に混乱をきたします。

であれば、そこは割り切ってデータ移行したデータは参照用のみに使い、Do用のデータや予約データは少し面倒ではありますが、各部門に入力してもらったほうが切り替え時にスムーズに行く可能性が高いです。

新システムで繰り返し入力することで新システムでの操作訓練にもなります。

 

 

まとめにかえて

本記事では、電子カルテベンダー乗り換え時のデータ移行に関する課題に対しての解決策を解説させていただきました。

これらの多くの課題も本当の意味での「電子カルテの標準化」が進めば解決していくのだろうと思います。

あらゆるしがらみがありなかなか難しいとは思いますが、近い将来実現することを期待して今後の医療情報システムを見ていきたいと思います。

 

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